ち》に掘りぞへられて
イヤハヤ
むんぐらむんぐら居やあした
畑の土は、開闢このかた、黒いもんか
どなもんか
真《まこと》の所、烏に聞いて見やあすべい
畑ン中は、青空天上、不思議はごわすめえ
喉笛鳴らした ケー ケー ケー
鶏《かしは》が走つた
こりやまた事だと魂消《たまげ》払つて見てやあした。
蜻蛉《あけづ》が一匹
追つかけ廻つた、啄《つつ》くわ 啄くわ
ぶつ飛びあがつた、飛んだわ 飛んだわ
蜻蛉は御運《ごうん》でござりあした
地主様の一人娘が
娘に二種《ふたいろ》何処にごわせう
どどの詰りが
エヘン
孕み女子《をなご》になりやあした
畑ン中の豆ン花|何《ど》なもんだ
朝つぱらから何事ぶたずに
べろりと咲いてござりやあす
[#1字下げ]道楽薬師[#「道楽薬師」は大見出し]
願ひかけました
米山《よねやま》さまへ
縁をつないで
お呉れよとかけた
末はどうでも
お薬師さまよ
せつぱ詰つた
つないでお呉れ
帯で結んでも
切れる縁は切れる
どうせ米山も
お道楽薬師
切れるまでにも
つないでお呉れ
[#1字下げ]蚊喰鳥[#「蚊喰鳥」は大見出し]
春も末かよ
葉桜の
蔭
前へ
次へ
全34ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング