咲く頃か
ほととぎすが啼く
ほととぎすが啼く
[#1字下げ]風の音[#「風の音」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]
裏戸覗きやる
口笛ヤ吹きやる
わたしや気が気ぢや
ゐられない
逢へる身ならば
逢ひにも出よが
元のわたしの
身ではない
[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]
戸縁《とぶち》叩きやる
小声ぢや呼びやる
とても気が気ぢや
ゐられない
空の星でも
縁なきや流る
薄い縁だと
おぼしやんせ
[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]
石は投げしやる
雨戸にやあたる
もうも気が気ぢや
ゐられない
この家《や》去れとて
石投げしやるか
石に言はせに
来やしやるか
[#2字下げ]四[#「四」は中見出し]
去つちやくれろと
石投ぎやしない
風の音だと
思やしやれ
風の音だと
よく言《ゆ》ふてくれた
窓にもたれて
泣いたぞえ
[#1字下げ]畑ン中[#「畑ン中」は大見出し]
(ある農夫の歌の VARIATION)
真昼間《まつぴるま》でごわせう
畑ン中に、田鼠《むぐらもち》が一匹
斑犬《ぶ
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