お月さんに
なつてゐる


[#1字下げ]日永[#「日永」は大見出し]

土に物問うた
畑の土に

土が物|言《ゆ》うた
畑の土が

日南《ひなた》ぼつこして
ゐたよと言ふた


[#1字下げ]お茶師[#「お茶師」は大見出し]

木瓜《ぼけ》の花咲く
日和《ひより》は続く

お茶師《ちやし》ヤ来るのも
もう間はなかろ

裏の畑の
茶の樹を見たりや

雀アならんで
とまつてる


[#1字下げ]大洗沖[#「大洗沖」は大見出し]

鹿島灘越しや
船玉さまよ

アレサ マア
大洗《おほあらひ》沖の
アレサ マア

隠れ御礁《おんね》の
磯が鳴る


[#1字下げ]草刈り娘[#「草刈り娘」は大見出し]

わたしや田舎《ゐなか》の
草刈り娘

草は千駄《せんだん》
刈らなきやならぬ

  ザツクリ ザツクリ
  ザツクリサ

草の千駄
夜明の星《のんの》

わたしや思はぬ
日とてない

  ザツクリ ザツクリ
  ザツクリサ


[#1字下げ]金雀枝[#「金雀枝」は大見出し]

金雀枝《えにしだ》の花咲く頃は
ほととぎすが啼く
ほととぎすが啼く

故郷《ふるさと》の森の中にも
もう 金雀枝の

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