のが出たので、それでその間の變り目に就て人類の知識に大變な衝動を與へたものと考へられます。それでこの召誥の中にはこの夏殷周三代の革命に對することが現はれて居りますです。夏が天命を失つたので殷になり、殷が失つたので周になつて來たといふので、
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我不可不監于有夏。亦不可不監于有殷。
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といふ言葉が出て來て居ります(2)。前代のことに就て、それを手本とし、或は戒めとして考へる上に就て、この三代がだん/\に代つたといふことが、古代の思想上重大なことであつたらしく思はれます。召誥の外に、同じやうな考へは多士篇にも現はれて居ります(3)。それから全體の革命の上の考へではありませんけれども、無逸とか君※[#「※」は「爽」の二つの「爻」に代えて「百」、読みは「せき」、第3水準1−15−74]とかの諸篇の中にも皆歴史的思想といふべきものは多少現はれて來て居りまして、それから多方、前に申しました立政の諸篇にまで、ますますそれが現はれて居ります。一つはこれは、今日尚書を読んで見ますといふと、勝利者である所の周が、失敗者であると言つてもまだ非常な實力を有つて居つた
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