ゐる。孫徳謙は漢書藝文志擧例を作り、藝文志の作り方につき、その例を擧げて、特別に注意された點を明かにしてゐる。
二劉(漢書藝文志)の分類法、著述の史的分類
大體、今日の藝文志、即ち別録・七略を經て來たこの本は、目録そのものが、單なる簿録ではなしに、それ自身が一つの著述の體をなしてゐる。前述の如く、大體はあらゆる書籍を六部に分類し、その六部の各※[#二の字点、1−2−22]に更に細目即ち子目を作つた。
[#ここから1字下げ、折り返して8字下げ]
一、六藝略 易・書・詩・禮・樂・春秋・論語・孝經・小學・六藝總論
二、諸子略 儒家・道家・陰陽家・法家・名家・墨家・縱横家・雜家・農家・小説家・諸子總論
三、詩賦略 賦三[#「三」は小書き、右上寄せ]・雜賦・歌詩・詩賦總論
四、兵書略 兵權謀・兵形勢・陰陽・兵技巧・兵書總論
五、數術略 天文・暦譜・五行・蓍龜・雜占・形法・數術總論
六、方技略 醫經・經方・房中・神仙・方技總論
[#ここで字下げ終わり]
この中、詩賦略の子目には總論がないが、その他の子目には各※[#二の字点、1−2−22]總論が附せられてゐる。まづこの子目につき書名を擧げ、その一種類毎にそれを總括した文章があり、一略が終れば更に一略全體の總論がある。この時代としては、よほど本の分類の仕方もよく出來、却て後世、本を四部に分けたのより學問的でよい處がある。そしてその一つ一つの書目を擧げるについても、皆相當の意味がある。藝文志は七略を簡單にしたに相違ないが、その必要な目録の書法は、もとのままを守つたらしい。
その中で注意すべきことは、全體の總論的なこととしては、書籍の歴史的な排列法、分類法の取られてゐることである。それは本の出來た時代の順に書くといふことではない。歴史的なりといふ意味は、大體、本の出來て來る由來から分類の仕方を考へたことである。經書を六藝その他に分けるのは勿論、最も骨を折つたのは、諸子略の儒家以下九流について書いたことである。勿論六藝でも、易は如何にして出來たか、書は昔如何なる種類のものがそれらに纏まつたかといふ風に由來を説いてゐるが、殊に九流では、九流が悉く昔の官師から出たことを説いてゐる。例へば、儒家は司徒の官に出づ、道家は史官に出づとあり、その外、陰陽家は羲和の官(天文の官)に出で、法家は理官(裁判官)に出で、名
前へ
次へ
全56ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
内藤 湖南 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング