以て彫付るのであります、其のナイフのやうな物が即ち筆であるのです、尤も禮記は支那の古書としては經書の中では最も晩く出來ました本であります、即ち禮記の中の大部分は今日の進歩した經學者の考へとしては多くは漢の初頃に出來たものである、勿論戰國から書續いたものでありませうが、此の二語の如きは之は古書を鑑別する見方に依つて觀ますと云ふと、禮記の編纂された時よりは或はモツト古く斯ういふ語のありましたものを茲に載せたかと考へられますが、兎に角古書の中では比較的新らしいものであります、夫で史と云ふ者の職務に就ても極めて簡短な事を書いてある。
もう少し古書に於て史に就て詳しく書いたものが無いかと申しますと、今日在ります所の古書には更に詳細なのがあります、勿論古書の鑑別の仕方は餘程面倒なもので、其の眞僞に就ては種々議論がありますが、古い制度を詳しく書きましたのは周禮である、周禮の中に史官の職務に就て詳細な記事があります、周禮にはあらゆる官職に就て六つに大別してある、天官、地官、春官、夏官、秋官、冬官としてあります、其中春官の部類に史の職務の事が載つて居ります、夫には史を五つに分けてあります、大史、小史、
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