ふものは周の制度に關する見解が周禮とはスツカリ違ふ、周禮の方では天官から冬官まで六つの官を定めて居りますが、其の六官の立て方さへも古文と違ひます。
今文派で大史といふのは第一どういふ所に載つて居るかと云ふと禮記に載つて居ります、禮記の學問は總て今文の學問であります、禮記の一番眞先きの曲禮《コクライ》の中に天官に六大ありと云ふことが書いてある、夫には大宰、大宗、大史、大祝、大士、大卜、斯う書いてあります、周禮の方では大史といふ官は春官に入つて居りますが、是では天官の方に入つて居ります、其處には何ういふ職務をするかと云ふことは書いてありませぬが、大史の官職を今文の方で詳しく書いてあるのは何に在るかと申しますと儀禮の方にあります。
儀禮は今文家が信ずる所の經でありまして、此の方には大史の職務を書いてありますが、それは周禮の中に在ります大史の職務の中で射禮の時に弓の數取をする職務の事だけを主もに書いてあります、兎に角澤山周禮の中に種々な大史の職務がありますが、其中今文の方の説と合ふのは儀禮に書いてある弓の數取をする職務だけであります、それから小史のことに就きましても儀禮の大射禮の所に出て居
前へ
次へ
全27ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
内藤 湖南 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング