します。兵主神社が弓月嵩と稱する處にあるといふことはこの弓月君に關係がありはしないかと思ひます。一方穴師といふ「あな」といふことは「あや」といふことゝ同じことであります。支那のことを意味しております。「漢」といふことを意味して居ります。「あや」といふのは「漢織」、即ち綾を織るから「あや」といふとする説がありますが、それは反つて原因結果を顛倒して居りますので、漢といふ字の音で、それから漢織の「あや」も、綾の「あや」も出たのでないかと思ふのであります。それで穴師若しくは弓月嵩といふ處に兵主神社があるのは當時漢人が來て居つた處で其の奉じて來た神を祀つて居つたのではあるまいか、是が又食物の神になつて居るといふことは、外國から食物即ち稻のやうなものを持つて來たからそれが食物の神になつて居る。さういふ所から穴師の兵主神社といふものは支那の山東の兵主神社を持つて來たのではないかと思ふ。日本の秦氏といふものが秦の始皇の末孫といふのでありますがこれらの系圖はあてになりませぬ。山東の八神といふものは古いものであつて、餘程前からある。それで其の時分に彼等の種族が日本へ渡つて來たが、其の時自分の國の神を持つて
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