道芸人の方では、あいつらが大御所面で納まっているけれども、公儀には柳生流というお留流儀《とめりゅうぎ》もあれば、実力第一小野派一刀流という、れっき[#「れっき」に傍点]としたのがある、木口や金茶の大御所流を入れることは、三下奴《さんしたやっこ》ならば知らぬこと、ビタちゃんとしてはいささか気がさすねえ、なあに、御祐筆《ごゆうひつ》の方へ申し込めば、御祐筆はみんなお人よしぞろいだから、ビタちゃんの言うなりにはなるがね、ビタちゃんの眼鏡の貫禄として、そう安売りはできねえ。
鐚《びた》は、とつ、おいつ、こんなことを言って、自宅にくすぶって気を腐らせていると、溝板《どぶいた》を荒々しく蹴鳴らして、
「鐚公、いるか」
その声は、まさしく木口勘兵衛尉源丁馬。
「来たな」
と鐚は思いました。
ガラリと腰高障子を引きあけた木口勘兵衛尉源丁馬は、朱鞘《しゅざや》の大小の、ことにイカついのを差しおろし、高山彦九郎もどきの大きな包を背負い込んで、割鍋を叩くような大昔を振立て、
「鐚、いたな、今日はひとつ、てめえに膝詰談判に来たんだが、このお爺《とっ》さんをひとつ、芸娼院の人別に入れてくんな、これは木曾の
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