えもん》や貉之助《むじなのすけ》の方のひいきが承知しない。トカク、これは難物だから、後廻し、後廻し。
絵かきの方は、昔から相場附けがほぼきまっているから、これはわりあいに手なずけ易《やす》いが、文書《ぶんか》きの方はトカク店が新しいだけに、品《しな》がややこしくていけねえ。
絵かきが五十八人もいるのに、文書きが十人じゃああたじけ[#「あたじけ」に傍点]ねえ、とムクれる奴には、刺身のツマとしてお下《さが》りをあてがって置いたが、このごろ、木口勘兵衛尉源丁馬と、金茶金十郎とを入れろ、ぜっぴと言って推薦して来た奴があるが、こいつは鐚も買えねえよ。
金茶や木口は、武芸もやっぱり芸のうちだから芸娼院へ入れろ、刺身のツマでもいいから入れろ、と捻《ね》じ込んで来ているのだが、どうも、さしも悪食《あくじき》のビタにも、こいつはちっと買えねえよ。
なるほど、武芸も芸には違いないが、あいつらの芸は下町の芸で、デモ倉流盛んな時はデモ倉流、プロ亀派が景気のいい時はプロ亀派、勤王がよければ勤王、佐幕がよければ佐幕で、風向き次第、どっちでも御用をつとめる大道武芸者だから、本当の芸人の中へは加えられねえ、大
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