しては、せっかくのヒットたる芸娼院の方も、開店休業の姿だから、なんとかせねばなるまいが、いやはや、手をつけてみると、そのややこしいこと、それで少々気を腐らせているという次第です。
 芸娼の芸娼たる所以《ゆえん》のものを説いて聞かせても、世間はなかなかわかってくれない。とりあえず鐚の方へ持ちこまれた苦情のうちの一つに――
 いやしくも芸と名のつく以上、ナゼ役者を入れない、芸人の王たる役者を入れないとはなにごとだ――と力んで来た!
 それから、芸事の芸事たるめききというものは、その道のものがしなければならない、金茶や木口の輩《やから》が、御右筆《ごゆうひつ》の下っぱのおっちょこちょいを相手に、人選をするとは怪しからん。
 と言って、膝詰めで来たものもあれば、ビタちゃんのお袖にすがって、ぜっぴ、お刺身のツマになりともありつきたい、と歎願に及んで来た奴もある。
 その辺は、ビタちゃんだって心得たものなんだが、何を言うにもそれ、役者の方から言ってみるてえと、愚左衛門を入れれば、轟四郎《ごうしろう》が納まらないし、毒五郎をのけて戸団次に戸惑いをさせるわけにもいかねえ、そうなるとまた、土右衛門《つち
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