うなことを言って慢心和尚が、与八の勧誘に補足をして村人を説得しているところへ、一人の風来人がやって来ました。
その風来人というのは、五十がらみ、小肥りに太った、笠をかぶって、もんぺを穿《は》いた旅の者らしい一人の男であります。
「わしは、武州|刎村《はねむら》というところの百姓弥之助と申しますが、諸国廻歴の途中、はからずもこのところへ立寄りまして、只今のお話を聞かせていただき、まことに結構に存じて、いたく共鳴を仕《つかまつ》りました。わしが諸国廻歴の目的も、只今の、お若衆さんと御出家さんのおっしゃったと同じ趣意の下に出発いたしたんでござりますが、なにぶん、徳が足りないものでござんすから、せっかくの志が通らず、わしが本心が通らぬのみか、到るところでばかにされて、どうもなりませぬ。ところで、只今のお話を伺ってみますと、世間にはまだ同じ志の者がある、捨てたものではない、と頼もしさ限りがございません。まあお笑い下さい、わしどもはこういう帳面を拵《こしら》えて諸国廻歴を致しております」
と言って、腰にブラ下げていた一冊の部厚の帳簿を解いて、慢心和尚と与八の前へ差出しましたから、
「それはそれは
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