、御奇特なことで」
と答えながら慢心和尚が、その帳面を手に取って見ますと、
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「百姓大腹帳」
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と書いてあります。二つ折|長綴《ながとじ》の部厚の帳面で、俗に「大福帳」型の帳面でありましたが、大福帳をここには「大腹帳」と書いたところに趣意がありそうなのです。果して武州刎村の百姓弥之助と名乗る男は、その「大腹」の字面を指してから次のように語りました。
「只今もおっしゃる通り、近ごろは戦争や饑饉の心配から、ドコへ行っても食を控えろ、食物を食べ過ぎるな、節食をしろ、節米をしろと、専《もっぱ》らこのように申し触らされておりますが、わしはそれと違いまして、百姓は物をうんと食え、そうして腹を充分にこしらえろ、非常の災難が来る時こそ、腹をこしらえて、度胸を据えなければならない、腹が減っては戦《いくさ》ができない道理、ですから、ウンと食べて、ウンと働きなさいと、こういう勧化《かんげ》のために、この通り百姓大腹帳というのをこしらえて、宣伝を致して歩くのでございますが、相手にされないで困っているんでございます。つまりが、わしが百姓だから、ばかにする者が多いとい
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