らねえんでげすよ、奥坊主のうちに作者があるんだそうでげすが、その奥坊主の中の誰の作でござんすか、わっしどもにゃ、ちっともわからねえんでげす、ただ、当時、こういうのが流行《はや》っているから唄え、受けるぜ、儲《もう》かるぜ、と仲間が伝えてくれるもんでげすから、その口真似をやっているだけのもんでげす、文句がよく出来ておりましたからって賞《ほ》めていただかなくてようがすが、もしまた誤って穏かならねえところがございましても、わしの罪ではございません」
「それはわかっている、なにも貴様の口占《くちうら》を引いて、罪に落そうなんぞというのじゃない、ただ、そういう唄を聞いていると、最も正直な時代の声が聞えるというわけだ、おべっかや、おてんたらと違って、言わんとするところを忌憚《きたん》なく正直に言っているから、それで時代の風向きもわかるし、政治向の参考にもなるというものだ、ただ、一つの学問として聞いて置きたいのだから、正直に唄え」
「左様な思召《おぼしめ》しでござんすなら、一番、腮《あご》に撚《より》をかけてお聞きに入れやしょうかな」
 願人坊主はようやく酔いも廻って、いい気になり、ことにこの殿様は
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