の葉みだりがはし。空|掻《か》きくもり、いつしか打ちしぐれつつ、鹿の音かすかに音づれて、虫のうらみも絶え絶えなり。とにかくに取集めたる御心細さ、譬《たと》へ遣《や》るべき方もなし。浦伝ひ、島伝ひせしかども、さすがかくはなかりしものをと、思召《おぼしめ》すこそ悲しけれ。岩に苔《こけ》むしてさびたるところなれば、住ままほしくぞ思召す。露むすぶ庭の荻原霜枯れて、籬《まがき》の菊の枯れ枯れに、うつろふ色を御覧じても、御身の上とや思しけむ、仏のおん前へ参らせ給ひて、『天子しやうりやう、じやうとうしやうがく、一門亡魂、とんしよう菩提』と祈り申させ給ひけり。
いつの世にも忘れ難きは先帝の御面影、ひしと御身に添ひて、いかならむ世にも忘るべしとも思召さず。さて寂光院の傍らに、方丈なる御庵室を結んで、一間をば仏所に定め、一間をば御寝所にしつらひ、昼夜朝夕の御勤め、長時不断の御念仏、怠ることなくして月日を送らせ給ひけり」
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右の文章、平家物語|灌頂《かんじょう》の巻のうちの一節、天子しょうりょう以下の仮名文字に漢字をあてはめんとして、校合の筆を進めておりましたが、ふと、参考の書を求
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