来たものと覚しきが、近づくに従って、その足どりの重いことと、息をせいせいきっている調子を嗅ぐと、何やら重荷を負いつつ、歩み来《きた》るもののようです。しかも、重き荷を負うて遠き道を来りしこの旅客は、年もはなはだ老いたる人のようであります。
竜之助は、杖にもたれて、それを待伏せしておりますと、現われたのは察しの通り、息せききって、背に余る大きな荷物、これは八升炊きの大釜でした、この大釜を縄でからげて、背中へ背負い込んで、屈《かが》んで歩いて来たところは、釜を負うて来るのではない、釜に押しつぶされながら、その下を這《は》い出して来るような形であります。しかも、案《あん》の定《じょう》、その当人は、老いぼれの痩《や》せこけた、肋《あばら》の骨が一本一本透いて見える、髪の毛の真白なのを振りかぶり、腰巻の真紅《まっか》なのを一腰しめただけで、そのほかは、しなびきった裸体のまま、さながら餓鬼草紙の中から抜け出したそのままの姿で、よろめいて来るのでありました。
「はい、御免下さりませよ」
ここに人ありと見て、老婆は竜之助の前を通る時に、言葉をかけたものですから、竜之助が、
「この夜更けにドコへお
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