わからないと言えば、がんりき[#「がんりき」に傍点]のようなのぼせ者を煽《おだ》てて、この岩倉村に東西きっての大バクチがあるから行ってみろと、貸元までつとめて、がん[#「がん」に傍点]ちゃんが勢い込んでかけつけてみはみたが、事は以上示すところの如く、馬鹿をみたようなものであった。自身、ここまで出向いて来るくらいなら、何を苦しんで、がんりき[#「がんりき」に傍点]をああまでかついだのか、はなはだ解《げ》せないことです。
いずれにしても、不破氏は、この席へ入ると同時に、平身低頭して、出入り御贔屓《ごひいき》の骨董屋たる腰の低いところを充分に表現いたしました。
主人側の三人の会釈《えしゃく》を見ても、これは尊王憂国の志士の変形として受取っていない。ここまで引見の特権を与えた過分の町人としての待遇に過ぎないところを見ると、それで安心した。不破氏は大伴の黒主ではない。
「骨董屋、手順はどうだ、首尾よく進行しているか」
岩倉三位からお言葉が下ると、不破氏は、頓首膝行《とんしゅしっこう》の形をもう一つ低くして、
「は、御意にござります、万事お申しつけ通りに、極めて内々《ないない》に取計らい
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