五十五
ここで、話が少し後戻りをして洛北岩倉村へ帰るのでありますが、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵、宇治山田の米友、首《くび》っ枷《かせ》の一幕を見せられた献上隊は、呆気《あっけ》に取られて、これを追及することも忘れたのでありますが、その首っ枷の早いこと、軽便蒸汽もはだしの有様なので、みるみる姿を見失った後に、我を取戻したという有様です。
しかし、怪我もこのくらいの程度ならばまず安心、やがて彼等は、苦笑と哄笑《こうしょう》とを禁ずることができません。そうして苦笑と哄笑の間に、銭拾いをはじめました。
すなわち、宇治山田の米友公が、粒蒔《つぶまき》、散蒔《ばらまき》の曲芸を演じた名残《なご》りを、或いは道草の間より、樹木の枝の股より、石の地蔵のお水凹《みずくぼ》の蔭より掻《か》き集め、或いは三ぴん氏や、三下氏の額、頬、顋《あご》、たぶさの間から引っぺがし、抜き取り、それから最後に、優に半分は投げ残された袋に納めきるのが一仕事であります。
この場だけの事情に於ては、この一行に相当の道理があるらしく、あえて米友の手から強奪を試みようとしたのにあるではなく、当然自分の隊
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