ちが来たために、あの異人氏を追い出したことになるのだが、異人氏は追い出されると思ってはいない。新人|来《きた》れば旧人去るのは当然の理法だと考えている。またそれが自分の自由だと考えている。こちらは気の毒千万とも思うけれども、先方は現在の旅から次の旅に移るとしか考えていない。満足から満足に向ってあさり進むとしか考えていないようだ。
のみならず、去り行く己《おの》れの影を哀《かな》しまずして、盛んなる我等の新植民をむしろ哀れなりとしている。斯様《かよう》な事業は必ず失敗なりと断言して憚《はばか》らないところも、また一見識だと思いました。
その一例として挙げてくれた、何といったかな、イギリスの、ロバート・オーエンと言ったかな、そういう人間の最近の失敗を述べたようだったが、くわしいことは聞きもらしたが、では、これからひとつそのオーエンなるものの伝記を研究してみよう。失敗とか、成功とかは論ぜず、トニカク空想を実行に移して、百折屈せざるの先例を見出すことは愉快と言わねばならぬ。イギリスという国が大きくなるのも、そういう人間を持ち得られるからだろうなどと、駒井がその時に考えました。
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