待っている人があるとは言わないが、心当りへ当ってみてから挨拶をする、と言って帰って来たのは別儀ではない、私の姉さん、お前、一緒に京都へ行ってくれるかね、お前が行ってくれれば、これも一期《いちご》の奉公だと心得て、おれは京都へ乗込むよ」
「参りましょう、あなたのおともをして、京都へ参りましょう」
「いいかい、ただの京都見物じゃないよ、次第によると永住の形式になるかも知れないぜ、よく考えて返事をしてくれ」
「考えれば、条件も出て参りましょうから、考えないでお返事を致しましょう、あなたが、わたしのために家へ帰って来て下さるようになったお礼心で、わたしはあなたのいらっしゃるところならば、海の中でも、山の奥でも」
「本気かい、本気でそれを言ってくれるのかい」
「あなた、このわたしの心意気がおわかりになりませんの」
「わかる、わかる、では、おれは明日にもまた折返して、京都行きを承知して来るよ、いいかい?」
「御念には及びませぬ、今日からでも、おともを致します」
「よし、話はきまった」
と言って神尾主膳は、出陣の前ぶれのように勇み立ちました。
四十一
それから、神尾が突込んだ
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