はおれが着るから、貴様も手伝え」
と言うから、よし来た! と刀を抜いて、枝をブチ切ってしまったよ。もう、首が括《くく》れない、あれへ来て死神に招かれる奴もあるまい、いい人助けをしてやったぜ。
だが、岡野には感心したよ、おれが助けた奴を、またわざわざ助けに来る義心がエライ上に、あの君子人のくせに、刑罰を覚悟で悪魔払いをしようてんだから見上げたもんだ――五郎魔は五郎魔らしい身の上話をして、座興が湧いたから、第三次としてこれから吉原へ行こうと言い出したのを、無論、それを断わる神尾ではあるまいと見ていると、案外にも、今宵はこれで御免を蒙《こうむ》る、ほかに待っているのがあるからと言って、首を横に振ったのには、土肥庄次郎も、大師堂五郎魔も呆気《あっけ》に取られました。
三十七
ほかに待っているのがあると言って、吉原行きをことわって引返して来た根岸の侘住居《わびずまい》。
これでは神尾もすでに老いたりだ、だが、他に待っている者があるとの口実が、いささか気がかりではある。
いったい、誰が、この化物屋敷に神尾を待っている?
待っていると言うたとて、ほかの者が待っているは
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