《めつけ》としては、その老巧から言っても当然その人ですから、ほとんど隔晩には船へ泊りに来て、船は、今やこの三人だけの世界のようになっているのです。
時たま、田山白雲が、船を見舞に来ることもあるが、これはウスノロにとっては最も苦手で、この人が来るとウスノロは、船室の中にすくんで扉を閉して出て来ません。兵部の娘の姿が見えると、白雲が何かとからかうものだから、娘も恥かしがって、なるべく姿を見せないようにしている。それだから船も白《しら》けて、さすがの白雲も、ここへやって来ることに気が向かない。画の資料を取寄せる際の極めて必要の場合でない限り、船へ来ることは稀れです。
駒井甚三郎も、最初のうちは、ちょくちょく来て見たけれども、これは、二人を叱りも、からかいもしないけれども、二人の方で気が置けて、やっぱり姿を見せないことにつとめているし、駒井もまた、二人の存在を無視して、仕事を片づけては行くものですから、ほとんど没交渉のようなものです。それさえ、この数日間は姿を見せない。毎日一度は来た駒井船長が、船へ姿を見せないことによって、陸の方の事務がそれだけ忙しいことがわかります。忙しいというよりは、
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