て来たが、船つきの都合で、暫く方向をかえて、疫落《やくおと》しをやってから、娘をまた里方へ帰すつもりで引受けて来たんだぜ、それをそのままいい気になって、わがものにしてしまおうなんて、考えても考えられねえことだ、縁というやつは、なるようにしかならねえものだ、神仏にお任せ申して置きあ、いいようにして下さらあ、人間、人のためを思うのはいいが、思い過すと、かえってためにならねえ、人間の運というものは、人間にはわからねえんだ、縁は異なもの味なものさ……いい人はいいようにして下さらあ、納まるべきものは納まるところへ納まるさ、そう、くよくよしたもんじゃあねえよ……
三十三
こういう意味で七兵衛は、この問題に未解決の解決を与えて、それでひとまず打切りとしました。
朝起きて見ると、兵部の娘が、思いの外にきちんとした身だしなみで、パンとお茶とを持って来て、七兵衛のために朝飯をととのえてくれました。マドロスはと見ると、一心に船の掃除をつとめている。この二人は、ほとんど常住の船の番人です。上陸してその部署につかないこともないではないが、船を守ることを本業として、陸に来ることは、ただ自
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