なけりゃ村八分、いや、荒神様の怖ろしい祟《たた》りがあるのでございまして。
 わしらが方では、名主様のお嬢様がお湯に入っているところを、雇人の作男が、ふと見てしまったばっかりに、そのお嬢様は、隣村への縁談が破談になり、その作男を夫に持たなければならなくなってしまったことなんぞもございます。
 何を申しましても、村の昔からのおきて[#「おきて」に傍点]なんでございまして、このおきて[#「おきて」に傍点]を破ると、孫子の代まで恐ろしい祟りがございます、そうして、現在この子は、あなた様のために、あの通りの目に会いました、善い悪いは別に致しまして、これがこの子の運でございます、もうこの娘は、あなた様よりほかに面倒を見ていただく人はございませんから、御迷惑さまながら、どちらへでもこの娘をお連れなすっていただきたいものでございます。
 もし、あなた様が、この娘の面倒を見て下さらなければ、この娘は死ぬよりほかは行き場所のない子なんでございます。
 そういうわけで、押しつけられたのだ。
 そりゃ、それに違えねえけれど、それは土地の迷信というものだ。土地の信仰を無にはできねえから、一時、おれはそれに随っ
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