らとて、どうなるものか、冗談は言いっこなし、いい年をして、そんなことができるかい、そんなことをしようものなら、みんなの示しがつくと思うかい、なに、駒井の親玉でさえもあれじゃないか、お前のはそれよりもっと素姓がいいんだぜ、村方総出で許されて来たんだぜ、あの時、村方の者が何と言った。
 あの村のならわしで、いったん男に肌を見られた女は、もうよそへお嫁に行くことはできない。
 村の昔からの習わしでございまして、娘のうちに、男に肌を見られたものは、どんなに身分が違いましょうとも、年合いが違いましょうとも、その男よりほかへは行ってはならねえことになっているのでございます、見たもの因果、見られたもの因果でございまして。
 そういう習慣でございます、そうしてその娘は、あの場で、こちら様に、すっかり見られてしまったんでございますから、もう嫁にやるところもございません、婿《むこ》を取るところもございません。
 それのみじゃございません、怪我にでも一人の女の肌を見てしまったものは、否が応でも、その女を自分のものにして、面倒を見なけりゃならねえおきて[#「おきて」に傍点]になっているのでございます、それをし
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