の後、おりゃ、女という方にはさっぱり綺麗に、よくもここまで通して来たもんだ、悪い事ぁするが、その悪いことも性分でやってるので、意地でやるわけじゃねえんだ、因果なことに、盗むのが面白くって面白くって、世間が隙《すき》だらけで隙だらけで、だまって見ていられねえから、ついちょっと手が出る、手が出ると、足が物を言うので、ツイツイここまで盗みを商売にしては来たものの、その上り高で、道楽を一つするじゃなし、お妾《めかけ》を一人置こうじゃなし、時たま旨《うめ》え酒を飲んで、旨え物を食ってみるくれえが関の山なんだ。女房のほかには、女てやつにさっぱり慾がなかったなあ、今日までそれで通して来たんだ。考えてみると、おれは盗人《ぬすっと》さえしなければ、聖人のようなものだ、盗人にならなけりゃ、相州の二宮金次郎になっていたかも知れねえ。だが、おれの初手《しょて》の嬶は、あいつは今どうなっていやがるかなあ、嫁入前に男をこしらえて、お土産つきで来るような奴だから、娘時分には、男も一人や二人じゃなかったろう、どうせ、水呑百姓のおれんとこへ、まあ、鄙《ひな》には珍しいというくらい、渋皮のむけた奴で、おれのところへ来るの
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