う、喜代ちゃん、そこへ火を焚《た》きつけておくれよ、お湯をわかしといてもらいてえ」
「はい、承知しました」
 極めて柔順に、この子は、七兵衛の言いつけを聞いて、急ごしらえの築立竈《つきたてかまど》の下へ、薪《たきぎ》を折りくべて火をたきつけ、やや遠いところの水汲場へ行って、バケツへ水を満たして来て、釜に入れたりなど、まめまめしく働く。その働くさまを、七兵衛は、こちらから煙草をのみながら、じっとながめておりましたが、
「ああ、ここにも娘盛りがいる」
と言って、何か深く考えさせられたものがあるようです。
 お喜代は、あんなにして七兵衛が貰い受けて来たというよりも、変った意味の前世の約束で、無理に背負わせられて来たのだが、こうなってみると、有力な拾いものであります。有力どころではない、求めても得られない、珍重な拾い物をしたと思わずにはいられません。
 その当座こそ、この娘は、さんざんに泣きもしたし、故郷を恋しがったりして手がつけられなかったけれども、今は慣れきってしまいました。これが与えられた生活であるという希望が、ようやく芽を出して来たのは、上陸して後にはじまったのではありません、船の中が
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