からざる弱さもありました。その弱味が、蓋《ふた》を取って物を見るように見られていることを感づかない二人の心に、充分の隙間《すきま》があり、愚さがあるということを気づかないでいるところに、また二人の善良さもあるというものです。
 事実、秘密は保たれている――と信じきったところに過《あやま》ちはなかったもので、今も現に、一人として異様な眼で見るものはないのは、まさに相違ないのですが、たった一人の者に、その秘密を見破られてしまっている――ということに、二人が気がつかなかったというのは運の尽き――いや、それが結局、喜ぶべきことかも知れません。この同志の中のたった一人が、早くも二人の秘密をうかがい知ってしまいました。
 その一人とは誰。神秘に属する官能を与えられた無邪気な清澄の茂太郎か。いいや、そうではない。茂太郎は鋭敏な天才に似ているけれども、まだその世界を知るまでには、年齢の力が許していない。つまり、それを最初に見破ったのは別人ならず、七兵衛入道なのであります。
 七兵衛は、もう翌日の朝、二人の間を見破ってしまいました。
 朝の御機嫌伺いを兼ねて、事業の進境の相談をするために、真先におとずれ
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