知り過ぎるほど知っているお松は、二人の評判が、この僅かな同志の間にでも異様に立ちのぼった時は、それは二人同士の身心の革命が、血を流さずして行われたことのように容易なものでないことを、熟知しているからであります。
人心が離れる、離れないということは、男女の間の疑惑から起って、予想だもしない危険があるということに、相戒め、節制をつとめる二人の間は、偽善ではなくして、誠意でありました。
二人の間を、異様な眼を以て見るものは一人もありません。船にある時、優良なる船長であった主人と、その最も忠良なる侍女、或いは秘書としてのお松を、虚心平気で見る以外の眼を以て見るものは一人もありませんでした。
二人の革命は、無事に二人だけの破壊と組立てを完了している。その勝利というような甘い感じが、ややもすれば、この聡明にして警戒深い二人の世界を、動かそうとすることもないとも言えないが、二人の世界は、二人だけの世界で、何者といえども、これに触るるを許さないところのものでありました。
その甘きに酔うべき秘密を、二人は、厳粛に、犯されざる垣の内に保ち得たりとする、そこに、誠意もあり、警戒もあるが、また、免るべ
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