れで人一倍の血筋の子供を仕立てようとするのは、てんで話が無理だ、わしにゃ、どう教育して上げていいかわかんねえ、いい先生はないかなあ、いい学校はねえかなあ、恐懼戦慄の後に、与八が観念はこれでありましたが、そういう時に、眼をつぶって、大先生の信仰をはじめると、不思議に、今まで忘れていた昔の面影がありありと、自分の眼の前に現われて、その折々に言われた言葉が耳の底から甦《よみがえ》って、自分の耳もとに、諄々《じゅんじゅん》として説かれる声を聞きました。
「与八、お前は貧乏に生れて、棄児にされたその運命を恨んではいけないぞ、その運命というものが、お前を教育する恩人だということを忘れちゃいけないぞ、わしがこうして長年の病気を、人は不幸だと思うけれども、わしにとってはこの病気によって教育されたことが大きい、それと同じこと、人間がよくなる、悪くなるということは、物があり余って、立派な親、師匠がついているいないということではないぞ、貧乏はこの世界の最もよい教師だということを忘れるなよ」
と言って、慰め励まされたその言葉が、今し耳の底でガンガン鳴り出して来ました。
その当座は、大先生のおっしゃることは無
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