、すっかり、その過ぎ越しも、行く末も、明瞭に諒解がつき、全くこの青年が、好学に燃える一青年以外の何者でもないということがわかりました。
 ただ、よくわからないのは、その胆吹山に巣を食うという一味の開墾者の団体の性質のことですが、それは兵馬として詳しく問いただすべきことではない。もう一つ――江戸で有数な英学者、身分は旗本――というようなことも、離して別々に持ち出されてみると、兵馬も思い当るところがあったに相違ないが、青年の志望を主として聞いていたものですから、兵馬としての受け答えは、この好学の青年の志望を讃して、励ましてやることにはじまりました。
「それは結構な志だ、しっかりやり給え、江戸はなかなか誘惑が多いからな」
 江戸は誘惑が多いことなんどを、特に附け加えて、はじめて兵馬も自分がテレ加減になっていると、今度は青年の方で反問的に、
「あなたは、ドコからおいでですか」
とたずねました。兵馬が、
「拙者は越前福井から来たのですが……」
「へえ、あなたは福井から、僕は福井へ帰るんですが、僕は本来、福井のものが福井へ帰るまでなんですが、あなたは福井のお方ではござんすまいね」
「そうです、拙者
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