甚《はなはだ》しく迫ることを感じ、なるほど、ここは要害だ、柴田勝家が越前から上るにしても、羽柴秀吉が近江から攻めるについても、両々共にその咽喉首《のどくび》に当る、兵を用ゆるには地の利を知らなければならぬというようなことを、何とはなし、痛切に感ぜしめられました。
 そうして、福井の足羽山で呼び起された柴田陥落の悲劇だの、太閤の雄図だの、実際に於ての想像を追うて行くうちに、不思議と、北の庄の城から送られて来る淀君の面影、その母のお市の方、武力戦は同時に色慾戦であった。国を取り、城を屠《ほふ》った勝利者の獲物の中には、必ずや女がある――というようなことまで、ひとり旅の身には、何とはなしに思いやられるのでありましたが、実を言うと、それらの名所古蹟よりも、歴史人物よりも、兵馬の脳中に食いついて離れないのは、あの田舎芸者《いなかげいしゃ》の福松のことばっかりでありました。我ながら、切れっぷりのさっぱりしたことを感じないでもないが、それにしても、どうも痛切にあの女のことばっかりが頭に残っているのは、何としたことだ。
「あなたは、女の情合いというものはわかっているけれど、女の意地というものがわからな
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