る、こちらも渡りに舟だから、万事よろしくお任せ申しますと言いますと、明日からお前の住むお家もちゃあんときめてやる、とその親分さんが言ってくれました。そんなわけでわたしも、思いがけない後ろだてが出来て、この土地で、新参ながら押しも押されもせぬ姐《あね》さん株になって、立派に看板があげられるのよ、そうして、あなたを長火鉢の前へちゃあんと坐らせて、よろこばして上げるわ。浮草稼業のものに根がついたほど嬉しいことはない、もう、あなたにも旅の苦労なんかさせないことよ、いいお兄さんで、横のものを縦にもさせないで、遊ばせて置いて上げるわ」
 福松の欣々《いそいそ》として帰ったのはこれがためでありました。水草を追う稼業であればこそ、身の振り方のついたということに、無上の安心を置いていたらしい。同時に、これが同行の兵馬をも悦ばせずには置かないと独《ひと》り合点《がてん》の推量で、わくわくしながら話しかけると、兵馬は膝を進ませ、言葉を改めて言いました、
「ああ、それは結構です、実は、拙者も今、物を書きながら、それを考えていたところです、自分の身は天涯《てんがい》ドコへ行こうとも屈託はないが、君の身の上が、女
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