ンペン小僧にしろ、持込場のない行路病者にしてみたところが、当人の身性《みじょう》に不明なところがあって、果して犯罪人かどうか甚《はなは》だ不明であるものを、そのまま処刑をするということは、小の虫を殺して大の虫を抑える、時にとっての策略でありとはいえ、源松もあんまりいい心持はしなかった。ところがその策略が当りそうで当らず、民衆がその網にひっかかりそうでひっかからず、かえって裏をかかれて何者かが、あの「生曝し」を引っさらって行ってしまった。それのみならず、愚弄《ぐろう》したようなやり方で、太閤秀吉の木像首をそのあとへおっぽり出して行ってしまった。それには我慢なり難い。罪状不明の者に、かりにも罪を着せた政策の上に多少の引け目がないではないとして、それにしても公儀掟によっていったん曝しにかけた者を、これを奪い去るということは、公法を無視したものだ、これは許すべからざるものだ、何者がいかにして、あの「生曝し」を奪い去ったかということは、今日まで源松の心魂に徹していたことで、源松がその後、江州の方面をうろついていたのは、一つはその責任遂行のためであろうと思われる。
ところが、現在、眼の前で、その
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