し方がございませんでして」
「お前に役目でつけられるような弱い尻は、こっちにはないぞ」
「そちら様にはとにかく、わっしの方で、ぜひ最後を見届けるところまで、おともが致したいんでございます、悪くつきまとうわけではござりません、役目でございましてな、手っとり早い話が、あなた様の昨晩のお泊り先はわかっておりますが、これからの先、それと、もう一つ、今晩のお宿許と、お国元の戸籍のところを一つ伺えば、それでよろしいんでございます。と申しますのは、まあ、世間並みのお方でございますと、一当り当れば、身分素姓のところ、すっかり洗ってお目にかけますが、あなた様に限って、当りがつきません、まるでまあ、失礼な話だが、幽霊のように、姿があって影がないんでございますからね」
「冗談を言うな、今はそんな冗談を言っている時ではあるまい、おれのような幽霊同様の影の薄い人間を、貴様のような腕利《うでき》き一匹の男が、鼻を鳴らして夜昼嗅ぎ廻っている時節じゃあるまい。古いところで、姉小路卿を殺した下手人はまだわかっていないだろう、三条河原へ足利の木像をさらした一味も検挙されてはいないはずだ、新撰組で芹沢が殺されたその下手人さ
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