りついて見ると、そこは、夜もすがら、あはは、おほほで眠れはしなかった、仕方がないから、日岡を越して、山科まで来てしまったのだよ」
「して、その山科は、ドチラかお心安いところがございまして」
「いや、山科へ来たからといって、別に心安いところもないがな、関の大谷風呂へ少し厄介になったことがあるから、もう一晩、あそこへ泊めてもらおうかと、それを心恃《こころだの》みにして来たまでだ」
「大谷風呂でござんすか、それは幸い、わっしも少しあの辺に用向がございますから、御一緒にお供が願いたいもので」
「それは迷惑だな」
「いえ、なに、旅は道連れということもございますからな」
 轟の源松は、人を食いそこねたようなことを言って、テレ隠しをしました。
「あんまり有難くない道づれだ」
と竜之助が苦りきりました。
「送り狼というところなんでござんすかな。この場合、どちらが狼でござんすかな。左様、送られる方が狼で……」
「いったいお前は、何でそう、わしのあとばっかりつきたがるのだ、盛りのついた野良犬のように」
「へ、へ、へ、恐れ入りました、これは、つまり、わっしの病ではない、役目なんでございますから、いかんとも致
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