、戻りにもまたこのあたりで、どうやら、己《おの》れを見かけて慕い寄る人の気配を感じたものらしい。さればこそ待っている。
たしかに、この男の勘の鋭さも昂進してきました。案の如く、人が後からついて来るのです。それは今に始まったことではないので、そもそも月心院の庫裡《くり》を抜け出した時から、竜之助のあとをつけて来た人影なのです。いや、それよりも、もっと前、島原の廓《くるわ》を出た時から、三条大橋で待つことを要求された時から、影の形のようについて来た覚えのある人影。
「へ、へ、轟《とどろき》の源松でございます」
先方はもうつい鼻の先までやって来ていて、こちらから咎《とが》められるを待たず、先方から名乗って出たのは先手を打ったつもりらしい。
「多分、そうだろうと思った、お前に見せてやりたいものがある、それ故、ここで待っていたのだ」
「へ、へ、何でございますか、わざわざ、わっしに見せてえとおっしゃいますのは」
「それそれ、これだ、これだ、これを見ろ」
竜之助から指さされたので轟の源松が、この指さされた藪《やぶ》の中を見ますと、
「あっ!」
と言って、思わずたじたじとなりました。轟の源松とも
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