カラカラと笑いました。
 途中も走って来た、かけつけ三杯にグッと茶碗酒を呷《あお》ったものですから、酔のまわりも異常に利《き》いたのでしょう。その勢いがあればこそ、泣合せの合奏と、手のひらの芸の影絵を面白いことにながめられる。全く今宵に限って、なんて世界がこんなに面白いだろう。同じ酔ったにしても、昨晩はこんなことはなかった。ゆくりなく島原の角屋《すみや》の御簾の間の昔に返って、あそこへ寝てみたが、べつだん面白い夢は見ないで、悪ふざけの実演を見たのか、見せられたのか、最後にいささか溜飲を下げることではあったが、決して、面白かったとは言えないのだ。
 それが今晩は面白い。出て行くまでは、そんなではなかったのに、帰りに向って宙を飛ぶ時から面白くなった。いや、松原通りでひっかけたおでんかん酒の利き目が、ここまで来て発したところへ茶碗酒の迎えが、めっぽう利いた。こうも面白おかしい気分のところへ、誂《あつら》えもしないのに音楽の合奏と、頼みもせぬに映画の上演とがあって興を添えてくれる。
 なんだか面白くてたまらない竜之助の脳底へ、音楽と、映画とから、いろいろの想像が続々と湧いて来る。いま盛んに実演
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