刀の長いこと――袴が短かかっただけに、特に刀の長いのが目立つのでもあろうが、刀そのものを独立させて見ても、たしかに世の常のものよりは長い。それがこの場合、ことさらに長く見えるのは、短い袴が引立て役をつとめているばかりではない、今まで人品骨柄のことは言わなかったが、本来この男の人の身の丈が、普通人よりはずっと低くして小さかったのです。すなわち短躯矮小《たんくわいしょう》の人物でありました。
 田山白雲は、曾《かつ》て何かの時の戯れに、「一寸丹心」と書くべきを、「一寸短身三尺剣」という戯画を描いて、極めて矮躯短身の壮士に、図抜けて長い刀を差させた一枚絵を描いて、平山行蔵に見せたことがある。
 その一枚絵を思い出して、思わず微笑しないわけにはゆきませんでした。本来は、突然こういう微笑だけでは済まされない、まず取敢《とりあ》えず吹き出してしまったかも知れないのですが、今日のは、最初の出が緊張していた上に、鳴物入りの凄味《すごみ》まで加わってここへ来ているのですから、ただ若干の失笑を余儀なくされただけで、なお一心に事のなりゆきを見守っておりました。
 長い刀は差し終ったが、脇差に至っては、その以
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