傍に行倒れにのめって、それっきりになってしまった、それではないか。
 とにかく、面《つら》をあらためてくれよう、面を――どっちにしたって、気の毒なものに変りはないが、驚くなら驚くように、事をあらためた上で驚いた方がいい。
「おい、お前、こっちを向きな」
 右に持っている杖を左に持替えて、そうして米友は、その行倒れの襟首《えりくび》をとって引卸して見ようと思って、その手ごたえに、我ながら度胆を抜かれた形で、
「おやおや――こいつぁ変だ、こいつぁ、こいつぁ、人間じゃねえや、おっと、人形だ、人形だ、人形が高札を背負って行倒れになってやがらあ!」

         百九十八

 斬られた人間の死骸でもなければ、栄養不良の行路病死人でもない、土で形をこしらえた、人間の模造品でありました。
 これを感得した米友が、自分ながら力負けがして、かなり手荒く、その模造人間の死骸の襟首をとって引起して見ると、
「馬鹿にしてやがらあ」
 それは、紛れもなく髭《ひげ》むじゃの鍾馗様《しょうきさま》の人形です。鍾馗様の人形とわかったけれども、その鍾馗様の人形が、こうしてこんなところへ何のために誰が捨てたのか、そ
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