高札にもまた、一応見覚えがある! と米友の頭に響かざるを得なかったのは、これも先に、生活品の買出しに長浜へ来た時に、札場で見たあの高札――念のために、その時うろ読みに読んだ文章を再現してみると、次のようなものでありました。
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   「定
何事によらず、よろしからざることに、百姓大勢申し合はせ候を、とたう[#「とたう」に傍点]ととなへ、とたうして、しひて願ひ事企てるを、がうそ[#「がうそ」に傍点]と言ひ、あるひは、申し合はせ、村方立退候を、てうさん[#「てうさん」に傍点]と申す、他町村にかぎらず、早々其筋の役所に申し出づべし、御褒美として、
 とたうの訴人  銀百枚
 がうその訴人  同断
 てうさんの訴人 同断
右之通り下され、その品により帯刀苗字も御免あるべき間、たとひ一旦同類になるとも、発言いたし候ものの名前申し出づるにおいては、その科《とが》をゆるされ、御褒美下さるべし……」
[#ここで字下げ終わり]
云々《うんぬん》の心覚えを、米友が思い返して、
「うむ、あの、あれだ、あれだ」
と合点《がてん》したが、合点のゆかないのは、あの時、あの高札場高く揚げて、何人
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