、やがてやや血気を静めて、そうして斬られている当人の果してなにものであるかの検討にとりかかりました。
二足三足と近づいて見ると、斬られた奴はうつぶしに倒れている。そうして、背中には何物かを背負っている。うつぶしに倒れているから、一見しただけでは人相そのものはわからない。その背中に背負っているものは――背負っているというよりは、背負わせられているといった方がよろしい、背負わせられているというよりは、むしろ背中へ結びつけられた、という変な取合せで背中に背負わせられているのは、よく高札場《こうさつば》にあるあの立札なのであります。高大な立札を背負わせられたまま、前へのっけに突伏している形ですから、また見ようによれば、人間が高札に押し潰《つぶ》されているようなもので、人間そのものを検視する先に、「さあ、もう一ぺん読め!」と高札をつきつけられているような形です。
百九十七
その時、米友の頭へピンと来たのは、この高札がまた只《ただ》ものではない、それはもとより、人間一匹を押しつぶして、息の根を止めているくらいの高札だから、只の高札でないことはわかっているが、この只者でない
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