た町の大路の真中に、人間が一人、まさに斬られて倒されている。

         百九十六

 だから、言わないことじゃあない。こういうことがあってはならないために、こういうことをあらざらしめんがために、このおいらという人間が、よる夜中、こうしてところを嫌わずうろついているのだ。酔興で、昨日の晩も、今日の晩も、こうして眠い眼をこすりながら、ほうつき歩いているというわけじゃあねえんだぞ。
 人間と名のつくものの一人でも、地獄へは落したくねえんだ。罪のある奴に、このうえ罪を重ねさせてやりたくねえければこそ、このおれはこうして、あてどもなく飛び歩いているんだぞ。
 人の心も知らねえで、こいつがまた、こりゃ、どうしたというもんだ。口惜《くや》しいぞ、残念だぞ、もう一足早かりせば、ちぇッ、この足め!
 米友は、ついに自らの足を憎んで、その足をもって、したたかに大地へ打ちつけました。この男、得意の地団駄です。得意のといっても、誰しも好んで地団駄を踏むものはない。地団駄というものは、残念無念の表情のやり場がなくて、大地に人間がわれと我が足をぶっつけて、遣悶焦燥《けんもんしょうそう》する時に起る挙動な
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