それも極めて規則的であり、時間に於ても、ほとんど一定の節度がある。それを程よく、やり過しさえすれば、無人の境を歩くと同様な静けさの中を、米友は飛び歩いている。
彼は、前の晩に犬の斬られたという大通寺の門前のあたりも、それと知らずして通り過しました。町から町、辻から辻、江戸に於て本所、深川、永代、両国を、はてもなくつけつ廻しつ、さまよい出した経験を有するこの男にとっては、長浜の町は甚《はなは》だ狭い。奥へつき進んだつもりで、かえって湖畔へ出たりしてしまいました。
湖畔に立って、烟波浩渺《えんぱこうびょう》たる湖面の夜に触れると、そこにまた、この男特有の感傷に堪えられないものがあって、
「おい、琵琶を弾《ひ》く、めくらの、お喋《しゃべ》りの坊主やあーい、離れ島にたった一人で残された坊主――無事でいるか、やあい」
こう言って、また慌《あわ》ただしく町の方へとって返して、前の如く軽快に、用心深く、深夜をあさってみたが、幾時かの後、町の辻の中央で、ぱったり足をとどめたかと思うと、急に飛び上って、地団駄を踏み、
「そうら見ろ、言わねえこっちゃあねえ」
果して、果して、米友の睨《にら》みつけ
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