見の儀、お願い申したき次第でござります」
と道庵が、至極テイネイに頭を下げたものです。
 留守をあずかる浪人は、それを聞いていささか迷惑げに、
「曾呂利の庭だけは申し伝えの通り、いまだに面影が残っておりまする故、ごらん下さる分にはいっこうさしつかえござらぬが、その豊太閤由緒の何々と申す儀は……左様な寺宝があるとも承り、またないとも承っておりまして、何とも御返事が致しかねるが、いずれにせよ、当今は訪れる人もなきこの荒れ寺を、よくぞお心にかけて、江戸よりわざわざお立寄り下された御好意に対し、留守をあずかる拙者の一存で、お目にかけられるだけはお目にかけて進ぜ申す。何を申すも、この通り夜分の儀でござる故、ともあれ、こちらへお越しあって拙者が控えで、粗茶など一つ召上られてはいかがでござるな」
「それは千万かたじけない、然《しか》らば、お言葉に甘えて……」

         百九十三

 そこで道庵は、相知らずして、米友と入れ替りにこの家の客となったのです。
 青嵐居士は道庵を庵室に招じ入れ、炉辺に茶を煮て四方山《よもやま》の物語をはじめました。
 話してみると、おたがいに話せる男だと思いました
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