――由を、不破の関守氏より承りましたるにより、わざわざ、拝見に罷《まか》り出たような次第でげして」
「ははあ――それは、見らるる通りの貧寺でも、相当の歴史をもっておりまする故に、少々の寺宝もないという次第ではござらぬが、天下無二の無三のというようにおっしゃられると恐縮いたす」
「いや、なかなか、そうでねえそうだよ、第一、このお寺の庭というやつが曲者で、これが昔、我々の先輩として尊敬する曾呂利新左衛門《そろりしんざえもん》の設計にかかるということだ」
「なるほど――それは、その言い伝えの通りでござる」
「それ、ごらん――曾呂利が腕を見せた庭とあれば、それだけでもけっこう見物《みもの》だね。それから、もう一つは、大阪の城内から将来した最も由緒ある豊臣太閤秀吉の坐像がおありだそうだ」
「いや、それはどうも……」
「それと、もう一つ、淀君から、秀頼をよろしく頼むとさる人に宛てて細々《こまごま》と書いた自筆の消息状、並びに、豊臣秀頼八歳の時の直筆《じきひつ》がお有りだそうだ、後学のために、ぜひ、それらは拝見いたしておきたいと、わざわざ道をまげておたずね致したものでござる、何卒、折入ってひとつ、拝
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