じま》へ導こうとして、誤って多景島へ漕ぎつけてしまったのは、もともと一片の義侠心といったようなものからの出発で、本来の目的でも、予定の行動でもありませんでした。
 この男、本来の道程としては、道庵先生のお供兼用心棒として、江戸から中仙道を木曾にとって、上方のぼりをして、ここまで来たというのが本筋なのでありました。それが関ヶ原まで来て、お銀様のために無心され、道庵先生も退引《のっぴき》ならず、この唯一無二の用心棒を割愛して、お銀様の所望に任せたという次第ですが、道庵先生としても、米友を失うと同時に、お角さんを得まして、お角親方一行と、これから上方筋を同行することにして、お角は上の如く大津に宿って、わざわざ八景めぐりをしながら、胆吹山へ紛れこんだ道庵先生の来《きた》り会するのを待ち受けているという次第です。
 そこで、米友は当分、お銀様の胆吹王国にいて、その事業の一部分を助ける、という役廻りから、長浜へ下りて来たこともこれで二度目です。最初の時は、新植民地に要する生活要品を買いととのえる荷駄《にだ》の宰領として頼まれて、明るく長浜へ下りて来ました。
 今度のは、それと違って、一夜、机竜之助
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