斬って、斬捨てにして置くのは、新撰組の浪士に相違ないが、斬られて斬捨てられているのは何者だか、その点がまだはっきりしない。
一説によると、新撰組の一部が仲間割れがして御陵守《ごりょうもり》になる、それを近藤の部下が追いかけて来て、あの通り斬捨てたのだという。もう一つの説は、あれは大津の藩士たちである。これよりさき、十四代将軍が上洛の時、膳所《ぜぜ》と大津との間に待受けて、将軍を要撃しようとした浪士連がある。その時に、危うく発覚して事なきを得たが、その余類があれである。それを新撰組がたずね出して斬ったのである。
この両説のうちの、いずれかが真相であろう。或いはその両説が混線しているかも知れない。
だが、お角さんの眼に不審とし、不服とするところは、むしろそれではない。
「ですが、お見受け申したところ、いずれも立派な御身分のお武家様たちと拝見いたしますが、あのままで、いつまでもああしてお置きなさるのはどうしたものでござんしょう、御検視が済みましたならば、一時も早く取片づけて、惨《みじめ》たらしいお姿を見せないようになさるのが武士の情けとやらではございますまいか、お武家でなくてもそうでご
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