ざんすね、普通の人情としても、人間の亡骸《なきがら》なんぞは、見せものにすべきはずのものじゃございませんね」
と言ったのを、店の亭主が、手を挙げて共鳴するような、制御するような恰好《かっこう》をして、
「そ、それでございます、いかにも、おっしゃる通り、あれはあのまま、ああして置き申してはならんのでござんすが……それがなんでございますよ、新撰組のお方が、もう一ぺんおいでになるまでは、誰にも手がつけられないのでございましてね」
 お角さんは、その返答にも不満でありました。
「新撰組とやらのお方に、手がつけられなければ、土地のお代官様の方で、何とかならないものでございますか、この土地にも、御領主様や、お奉行様がいらっしゃるでしょう、そのお手でもって、何とかして上げて、あったらおさむらいの亡骸を、犬猫の屍体同様に、道路に曝《さら》して置きたくはないものでございますね、何とかして上げられないものでございますかねえ」
と、不満の上に、お角さんが浩歎《こうたん》すると、亭主も、村役も自分の事のように当惑した面《かお》をして、
「それが、その、御領主様のお手でも、お奉行様のお力でも、新撰組のお方がもう
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