合、名木の一つ松を見るというよりも、その松の下の大景気に眼を奪われるの有様でした。
四明ヶ岳を蹴落され、坂本さしてほうほうの体《てい》で下りついて来たよたとん[#「よたとん」に傍点]と金茶も、ちょうどこの時分に、陸路を唐崎浜まで来合わせておりました。よたとん[#「よたとん」に傍点]も、金茶も、お角さんのこの騒ぎを耳にしないではないが、そこは通人のことで、よたとん[#「よたとん」に傍点]の如きは、かえって苦い面をして、田舎大尽のあくどい馬鹿騒ぎ、見たくもないというように、そちらへは振向きもせずに、番所のおやじに向って松の木ぶりと枝ぶりとを賞《ほ》めていると、金茶が、
「いったい、この松ぁ、何年経っている?」
年数の値ぶみを試みたところが、番所のおやじが無造作《むぞうさ》に、
「はい、一千と八年目になりますさかい」
芽生えから自分が守り育てでもして来たような返事をするから、よたとん[#「よたとん」に傍点]がそれを聞き咎《とが》めて、
「一千と八年――千年の松はいいとして、その八年というのは、いったい、何の目のこ[#「目のこ」に傍点]から来てるんだ」
と、松の番所のおやじに向って、とが
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